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新たに物流システムを企画する場合の方法論と実施事例をご紹介します。
物流センターを構築・改善する場合の基本的な過程は、おおむね「企画段階・計画段階・実行段階」に分けて考えることができます。
企画段階は、物流センターのユーザーが中心になってロジスティクスコンセプトを確立し、戦略的なアプローチによって実施の方向を決定します。
計画段階は、企画段階での実施決定を受け専門家が中心になって、新物流センターの実施計画および基本設計を行います。
実行段階は、計画段階での基本設計に基づいて発注者の監理の下にベンダーが責任を持って、新物流センターの施工設計、完成、運用指導および評価を行います。
最も重要なのは、物流センターのユーザーが中心になって行う企画段階で、一般に「図表-1」に示すステップⅠからステップⅤの手順で進められます。以下、各ステップの要点をご説明します。
まず、企画の対象である物流センターの、全社物流システムにおける位置付けを明確にします。これは経営戦略レベルの問題です。例えば、あるフランチャイズ・システムでは、物流センターをSCMにおけるロジスティクス戦略の中核と位置付け、店舗の販売実績および販売計画に基づいて、数百のメーカーから、数千の商品を仕入れ、数百の店舗に、ローコストで供給するドミナント出店の要の役割を担っています。
次に、この物流センターに求められる機能を明確にし、新システム企画の基本方針および革新のターゲットを設定します。そのためには一般に配送先からの要求、例えば、リテールサポート(小売支援)機能を最優先するなどです。
ステップⅠのシステム構築の目的を達成するために、その基本方針に基づいて具体的な目標、例えば、物流サービス水準・物流品質水準・物流センターの運営形態・事業計画などの目標を設定します。
次に、新システムを計画するに当っての前提となる下記のような基本条件を明確にします。
このステップは、既存システムが存在する場合に、新システムの実現性を高めるために行います。つまり、現状システムの運営実態から新システムの計画に反映すべき基本特性・改善課題・制約条件などを把握するとともに、計画した新システムの比較評価の基準にします。
なお、現状調査は、新システム計画の前提とするために行うわけではありませんので、現状のデータや印象にとらわれて新しい発想の障害にならないよう注意しなければなりません。
このステップは、ステップⅡおよびステップⅢを前提として、新システムのあるべきイメージを描き、基本的な構想を創出し、評価します。
なお、本ステップは企画段階における最も重要なステップであり、一般にシステム構築の経験者を含むプロジェクトメンバー全員による意見交換とアイデア創出が不可欠です。
①方法論の検討
新システムの目標を達成するための、中心的な検討課題を設定し、各課題を解決するための方法論、例えば、
などを創出し、比較評価します。
②新物流センターの構想
前項の有力な方法論を組み合わせて、新システムの全体イメージを想像し、「機能体系、業務フロー、ブロックプラン」などによるシステム構想を創出します。
③新物流センターの計画と評価
前項の有力なシステム構想を複数案具体的に計画し、実施時の費用・要員などを試算し、現状システムとともに「ステップⅡで設定された目標・条件」によって比較評価します。
このステップは、物流センター構築における「企画段階」から「計画段階」に移行するための準備段階です。
①実施決定
まず、「ステップⅣの③新物流センターの計画と評価」に対する経営的な意思決定(本計画を実施するか、中止するかの決定)と実施に当っての方針および条件を決定します。
②実施計画
物流センターの実施計画は、一般にマテリアル・ハンドリング・システムの設備メーカーなどの選定・発注の一環として行われるため、引合いのための予備調査や準備を行います。
なお、一般的に「ステップⅠおよびステップⅡ」のレベルを条件提示し、業者からシステム提案を求めることが行われます。この場合「ステップⅣ:基本構想の検討」は業者の提案に対する有力な評価基準となります。また、逆にこの検討が事前に行われていない場合には、業者の提案に対する適正な評価は困難です。
上記コラム「物流センター構築・改善の手順」にて、物流センターの企画段階における手順をご説明しましたが、実際に物流センターを企画される場合の基本的な留意事項を「図表-2」に要約します。
ロジスティクス戦略の実現には長期間を要し、物流センターの耐用年数も相当長い。従って、物流センターの計画に当っては、長期的な視点での一貫した基本コンセプトを確立しなければなりません。
従来、とかく物流センター内の合理化・効率化を中心に計画し評価するのが一般的でした。
しかし、物流センターは本来店舗など配送先へのサービスシステムであり、店舗など配送先の合理化・効率化のために必要な機能を中心に置いて計画し、評価すべきです。
基本構想の検討方法は、従来、現状分析からの発想で計画するいわば“分析的アプローチ”が一般的でした。しかし、将来は過去の延長線上ではありません。将来の環境変化やロジスティクス戦略に対応するためのあるべき姿をまず描き、現状からの移行プロセスを考えるいわば“戦略的アプローチ”で検討すべきです。
物流センターの役割は店舗など配送先への納品サービスであり、物流システムは各店舗など配送先にどのような形態・単位・タイミングで納品すべきかを前提として計画します。
つまり、物流センターのアウトプットとして店別の出荷荷揃えを、どのような形態でどのようなリードタイムで行うのか、そのためには物流センター内はどのような仕組みが効率的か、といった店別荷揃え(出荷条件)からの発想でシステムを計画すべきです。
長期計画に基づいて計画した物流センターの前提条件は、計画通りに推移するとは限りません。しかも、商品や物量が日々変化する中にあって、物流の機能および生産性を高めていくために物流センターは進化し続けなければなりません。従って、単なる拡張性に留まらず、運用の柔軟性やシステムの成長性などについてあらかじめ配慮すべきです。
今後ますます多様化・高度化する消費者ニーズ、商品および流通経路の多様化、流通構造の変革、循環型社会の実現などロジスティクス環境の変化に対応するために、今こそ物流センターの革新が求められており、本稿がその一助になることを願っています。
お問合せからサービスをご提供するまでの流れをご紹介します。
新物流システムを企画される場合には、多くの場合外部専門家の参画が有効です。
当事務所は、新物流システムの構築や次世代物流システムの調査研究に広くかかわっていますので、まずはお役に立てるかどうかをお気軽にお問合せ願います。
「お問合せ」いただければ、無償にて御社にお伺いしてご意向を確認し、対応を検討させていただきます。
御社にて、御社の事業計画・現場の状況等について確認の上、「新物流システムの企画」方針を明確にします。
なお、多くの場合、プロジェクトチームを立ち上げ、当事務所はアドバイザーとして参画させていただくのが良いかと考えます。
当事務所は、新物流システムの企画方針に基づく業務内容と所要経費を提示し、合意の上業務を開始します。
なお、業務内容と所要経費を予め明確にできない場合には、プロジェクト会議ごとに精算させていただくのが良いかと考えます。
いかがでしょうか。
このように、当事務所の「新物流システムの企画支援」サービスなら、実効性の高い新物流システムが企画できます。
「新物流システムの企画支援」サービスに興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。御社の「新物流システム」が効率的・効果的に企画されますよう、また、当事務所がお役に立てますよう願っています。