〒177-0053 東京都練馬区関町南3丁目32-4
物流センターにおけるBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)の策定方法と実施事例についてご紹介します。
わが国におけるBCPの導入は、2005年頃から始まり、2019年5月の調査によると、「策定している」、「現在、策定中」と回答した割合は、大企業が約4割に対して、中小企業は約2割にとどまっており、中小企業のBCP策定が進んでいない状況です。
そんな中、物流センターは中小企業に相当する場合が多く、しかも、サプライチェーンの中核施設として重要な役割を果たしているため、今後、物流センターのBCP策定が積極的に展開されるものと考え、その手順をご紹介します。
物流センターのBCP策定にあたっては下図の手順をご提案し、以下、各ステップにおける要点をご説明します。
物流センターの役割・要件・特性は、サプライチェーンやロジスティクスにおける位置付け、取引条件、制約条件等によって大きく変化するため、重要業務(緊急事態に遭遇した時にも継続が必要な業務)の設定に当たっては、ステークホルダーの意見を確認しBCPの策定目的を明確にした上で、対象とすべき機能、顧客(出荷先や荷主)、商品等を決定します。
物流センターが遭遇する緊急事態は、地震や水害等の大規模な自然災害、火災等の大規模な事故、感染症等多様ですが、可能性の高い緊急事態からスタートし継続的改善の中で想定緊急事態を増やしていくのが現実的です。
なお、一般的には地震を想定することが多いのですが、物流センターが沿岸部に立地する場合は津波や液状化にも配慮する必要があります。
目標復旧時間とその出荷率の設定に当たっては、顧客(出荷先や荷主)や市場(競合先)の視点と財務(資金繰り)の視点から検討します。
緊急事態の発生によって、物流センターのどんな重要業務が失われる可能性(リスク)があるかを洗い出し、同時にその対応策にはどのような方法が考えられるかの方法論を創出します。
この結果を基に、リスクの「発生確率と影響度」によるマッピングやABC分析を行って、対応すべきリスクを決定するとともに、その対応策を総合的に検討して事業継続への対応方針を決定します。
なお、リスクの洗い出し(リスク分析)と対応策の創出にあたっては、事業継続に係るリスクを出来るだけ広く洗い出し、対応策をできるだけ多く創出することが重要であり、5つの視点「経済性管理」「社会環境管理」「人的資源管理」「安全管理」「情報管理」による分析をお勧めします。
下図に、店舗に加工食品・日用品を納入する「小売業の物流センター」の計画における実施例を示します。
前項の「対応すべきリスクと対応方針」に対して、ボトルネックとなるインフラ・人・物・資金・情報等の資源を整理し、具体的な対策手順とスケジュールを計画します。
一般的には、管理者、作業者、トラック運転者、物流センターの周辺道路、建物、建築設備、物流施設、情報システム等が対象資源となります。
前項の「ボトルネック資源」の調達方法に関して、物流センター内で対応するのか、本社や外部物流センターとの協調で対応するかなどの基本戦略を検討し、その上で経済的・技術的に可能なソフトウエア対策(計画の立案、教育・訓練、人材の確保、BCPを定着させるための仕組み等)とハードウエア対策(災害に強いインフラ・建屋・設備の整備、代替設備の準備等)を決定します。
これまで、BCPが中小企業に浸透しない理由として、「いつ来るか分からない危機に対し継続的に取り組むのは不合理であり経費の無駄遣いではないか」との疑問があるといわれました。また、2019年5月の中小企業の意識調査によると、BCPを策定していないと回答した企業におけるその理由は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」「策定する人材を確保できない」「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」が上位を占めています。
しかし、企業の社会的責任が問われ、BCMS(事業継続マネジメントシステム)のISOが普及し、BCPが取引条件や融資条件となりつつある現状においては、「危機発生までは差別化によって競争力を高め、危機発生時には重要業務をいち早く復旧させて事業を拡大できる」実効性の高いBCPを持つ物流センターが今、求められています。特に、新たに物流センターを計画する場合においては、BCPを計画の前提条件に加えるべきです。
3PLが一般化する中にあって、本稿が「物流センターのBCP」再考のきっかけになることを願っています。
お問合せからサービスをご提供するまでの流れをご紹介します。
当事務所は、物流センターの企画・構築・改善に広くかかわっています。
実効性の高い「物流センターのBCP」にご興味をお持ちでしたら、どうぞお気軽にお問合せ願います。
御社にて、御社の事業計画・現場の状況等について確認の上、「物流センターのBCP」策定の方針を明確にします。
なお、多くの場合、BCPの前提となる物流センターの最適化から検討します。
当事務所は、物流センターのBCP策定方針に基づく業務内容と所要経費を提示し、合意の上業務を開始します。
なお、物流センターのBCPは、実効性を高める立場からお客様が主体となって進め、当事務所はアドバイザーの立場とさせていただければと考えます。また、業務内容と所要経費を予め明確にできない場合には、お打合せごとに精算させていただくのが良いかと考えます。
いかがでしょうか。
以上のように、当事務所の「物流センターのBCP支援」サービスなら、実効性の高いBCPが策定できます。
「物流センターのBCP支援」サービスに興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。御社の「物流センターのBCP」が効率的・効果的に策定されますよう、また、当事務所がお役に立てますよう願っています。